Asthma Selected Papers Online

おしらせ

今後の更新予定

10月下旬に2021.02-03の論文を掲載予定

新着情報

 2021年01月~02月に発行された10論文を新たに追加しております。
ダウンロードはこちら

最新論文

NEW

Triple therapy in uncontrolled asthma: a network meta-analysis of Phase III studies.

Rogliani P, Ritondo BL, Calzetta L, et al.

【背景】吸入ステロイド薬(ICS)、長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)の3剤による固定用量配合薬(FDC)が喘息増悪に及ぼす影響については、現在、相反するエビデンスが存在している。メタアナリシスを行うと一見矛盾するような様々な結果に関する論争を収束できることから、本研究では、複数の第Ⅲ相ランダム化比較試験(患者合計9,535例)を対象とするネットワークメタアナリシスを行い、コントロール不良喘息に対するICS/LABA/LAMA FDCの効果を評価した。【結果】ICSを高用量(HD)としたICS/LABA/LAMA FDCは、ICSを中用量(MD)としたICS/LABA/LAMA FDCと比較して、中等度~重度の増悪例に対してより効果的で、MD ICS/LABA FDCやHD ICS/LABA FDCと比較した場合でもより効果的であり(p<0.05)(相対危険度[RR]0.61-0.80)、トラフFEV1は増加した(+33~+114mL)。HD ICS/LABA/LAMA FDCはMD ICS/LABA/LAMA FDCと比較して、重症増悪抑制の点で優れていたが(p<0.05)(RR 0.46-0.65)、中等度増悪に関しては優れていなかった(p>0.05)。どちらのICS/LABA/LAMA FDCも喘息コントロールの点では同程度に有効であり、安全性に関する懸念は示されなかった。【結論】本研究の数量的統合から、ICS/LABA/LAMA FDCはコントロール不良喘息に対して有効かつ安全であることが示唆された。さらに、中等度増悪または重度増悪歴がある患者を治療する際に、FDCに含まれるICSの用量は区別すべきであると示唆された。

Eur Respir J. 2021;58(3):2004233.

NEW

NOD1 sensing of house dust mite-derived microbiota promotes allergic experimental asthma.

Ait Yahia S, Audousset C, Alvarez-Simon D, et al.

【背景】喘息の重症度は、チリダニ(house dust mite:HDM)抽出物内に存在しNOD1受容体によって認識される環境由来グラム陰性細菌への曝露と関係している。また、NOD1の多型が喘息と関係していることも明らかになっている。本研究では、宿主またはHDM由来微生物叢のどちらが、NOD1依存性の疾患重症度に関与しているか評価した。【方法】HDM誘発喘息の実験モデルを用いてNOD1欠損の影響を調べた。宿主の微生物叢による関与は、糞便移植を用いて調べた。HDM由来微生物叢の関与は、抽出物を対象とした16SリボソームRNA配列決定、質量分析法、ペプチドグリカン枯渇法を用いて評価した。【結果】HDM誘発喘息モデルでは、細菌センサーであるNOD1と、そのアダプターであるRIPK2を欠損させると、喘息が改善した。こうした阻害作用は、NOD1欠損に起因するディスバイオシスとは無関係であることが、Nod1欠損モデルの微生物叢を野生型無菌マウスに糞便移植した結果から示された。HDMアレルゲンの16SリボソームRNA遺伝子の配列決定および質量分析により、バルトネラ科に属するグラム陰性細菌に由来するムロペプチド類がいくらか存在していることが判明した。こうしたHDM関連ムロペプチド類は上皮細胞内のNOD1シグナル伝達を活性化することが明らかになった一方で、ペプチドグリカンを枯渇させたHDMではin vivoで喘息を引き起こす能力が低下していた。【結論】これらのデータから、HDM関連グラム陰性細菌をNOD1依存性に感知することが実験的喘息の重症度を悪化させていることが明らかになり、NOD1シグナル伝達経路の阻害が喘息の治療アプローチになりうることが示唆された。

J Allergy Clin Immunol. 2021;148(2):394-406.

Deletion of IL-4Rα signalling on B cells limits hyperresponsiveness depending on antigen-load.

Hadebe S, Khumalo J, Mangali S, et al.

【背景】B細胞は免疫グロブリンE(IgE)の分泌を通じてアレルギーにおいて重要な役割を果たす。インターロイキン4受容体α(IL-4Rα)は、アレルギー性喘息で中心的役割を果たしており、タイプ2サイトカイン産生、IgE分泌、気道過敏性(AHR)を調節する。IL-4によるB細胞の活性化は、クラススイッチに必須であり、Bエフェクター2(Be2)細胞の誘導に寄与する。Be2細胞およびB細胞におけるIL-4Rαを介したシグナリングの役割は十分明らかにはなっていない。本研究では、IL-4Rα応答性B細胞またはBe2機能が実験的アレルギー性喘息に不可欠かどうか検討した。【方法】B細胞上のIL-4Rαを欠損させたマウス(mb1creIL-4Rα-/lox)または対照マウス(IL-4Rα-/lox)と、B細胞上のIL-4またはIL-4/IL-13を欠損させたマウスを、高用量HDM(10μg超)または低用量HDM(3μg未満)で感作、チャレンジした。感作前日またはチャレンジ前日に、ナイーブIL-4Rα-/loxまたはIL-4Rα-/-B細胞をμMT-/-マウスに養子導入した。肺炎症、細胞浸潤、AHRを解析した。【結果】特に抗原負荷が少ない場合に、十分なTH2アレルギー性免疫応答にB細胞上でのIL-4Rαシグナリングが重要であることが明らかになった。B細胞上でのIL-4Rαシグナリングは胚中心形成に不可欠であり、アレルギー性応答のエフェクター相に必須であった。Be2細胞はAHRには必須であったが、その他のパラメータにはそうではなかった。【結論】B細胞上でのIL-4Rαシグナリングは、特に抗原負荷が少ない場合に、十分なTH2応答、Be2機能、胚中心形成、濾胞性ヘルパーT細胞に寄与するため、アレルギー性喘息には有害である。

J Allergy Clin Immunol. 2020;148(1):S0091-6749(20)32425-8.

Peripheral airways type 2 inflammation, neutrophilia and microbial dysbiosis in severe asthenia.

Azim A, Green B, Lau L, et al.

【背景】IL-13は、喘息の臨床病態において中心的役割を果たす典型的なT2サイトカインである。IL-13応答遺伝子は、喘息患者の中枢気道上皮で発現が亢進しており、重症喘息でも高用量の吸入ステロイド療法により正常化することができるが、末梢気道ではそうではない。本研究では、気管支肺胞洗浄液(BAL)解析により、重症喘息患者の末梢気道におけるIL-13の役割に関する理解を深めることを目的とした。【方法】重症喘息(78例)を含む喘息患者と健常被験者の計203例からBAL検体を採取した。多項目サイトカイン免疫測定プラットフォームにより炎症性メディエーターを測定した。この分析はさらに被験者59例を対象に再検され、末端標識制限酵素断片多型分析法によりBAL検体の16S rRNA解析を行った。【結果】高用量吸入ステロイド薬の投与にもかかわらずBAL中IL-13が高値を示す重症喘息患者は、IL-13濃度が正常範囲である患者と比較して、肺機能の重症度が高く、BAL中好中球百分率が有意に高かったが、BAL中好酸球については高くなかった。この結果は第2のコホートで再現され、BAL中IL-13および好中球増加と、末梢気道の病原性細菌の増加との関連も認められた。【結論】重症喘息に伴うBAL中好中球増加および細菌叢の異常と関連するIL-13のステロイド抵抗性が明らかになった。本研究によって、重症喘息の生物学的複雑さと、本疾患において末梢気道の自然および適応免疫応答についての理解を深めることの重要性が明確になった。

Allergy. 2021;76(7):2070-2078.

A real-life comparative effectiveness study into the addition of antibiotics to the management of asthma exacerbations in primary care.

Murray CS, Lucas SJ, Blakey J, et al.

【背景】喘息増悪は喘息の死亡の主な寄与因子である。喘息増悪の管理には気管支拡張薬や経口ステロイド薬(OCS)が使われることが多いが、臨床試験のエビデンスから抗菌薬の有用性も示唆されている。本研究では、日常診療で遭遇する患者からなる大規模集団を対象に、抗菌薬をOCSに併用すると喘息増悪の転帰が改善するかどうか検討した。【方法】Optimum Patient Care Research Databaseを用いて、喘息増悪例に対するOCS単独とOCS+抗菌薬併用の有効性を比較する後ろ向き研究を行った。患者28,637例のデータセットを用いて傾向スコアマッチングを行い、成人20,024例と小児4,184例を解析対象とした。【結果】喘息増悪に対して抗菌薬+OCS併用を行った患者は、成人の45%、小児の32%であった。OCS単独と比較して、OCS+抗菌薬併用では、翌2週間に喘息/喘鳴で受診するリスクが低下したが(小児でHR 0.84、95%CI 0.73-0.96、p=0.012;成人でHR 0.86、95%CI 0.81-0.91、p<0.001)、成人に限っては、6週間以内に喘息増悪の新規発現/持続のためOCSをさらに処方されるリスクが上昇した(HR 1.11、95%CI 1.01-1.21、p=0.030)。成人と小児のどちらにおいても、ペニシリン系薬剤はOCS単独と比較してその後の喘息/喘鳴による受診のオッズの低下と関連したが、マクロライド系薬剤ではそうではなかった。【結論】抗菌薬は、ガイドラインの推奨に反して喘息増悪に関連して処方されることが多いが、特に抗菌薬濫用のリスクを考慮すると、喘息増悪例に対して抗菌薬をOCSに日常的に併用することで得られる臨床的ベネフィットはほとんどないと考えられた。

Eur Respir J. 2021;58(1):2003599.

このサイトについて

下記雑誌に掲載された喘息に関する論文のうち、注目すべき論文を3人の編集委員が厳選。病態、疫学、診断、治療の4分野に分け、各論文を簡単な要約で紹介しています。

※現在326論文紹介しています。

【対象雑誌】
  • Allergy、 Am J Respir Cell Mol Biol、 Am J Respir Crit Care Med、 Ann Am Thorac Soc、 Ann Intern Med、 Chest、 EMBO J、 Eur Respir J、 Front Cell Infect Microbiol、 Immunity、 Int J Mol Sci、 J Allergy Clin Immunol、 J Allergy Clin Immunol Pract、 J Clin Invest、 J Exp Med、 JAMA、 Lancet、 Lancet Respir Med、 Medicine(Baltimore)、 N Engl J Med、 Nat Commun、 Nat Med、 Proc Natl Acad Sci USA、 Pulm Pharmacol Ther、 Respir Med、 Respirology、 Science、 Thorax、 など
【編集委員】
  • 一ノ瀬 正和 先生(大崎市民病院アカデミックセンター監理官)
  • 井上 博雅 先生(鹿児島大学大学院医歯学総合研究科呼吸器内科学教授)
  • 長瀬 洋之 先生(帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学教授)