Asthma Selected Papers Online

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下記雑誌に掲載された喘息に関する論文のうち、注目すべき論文を3人の編集委員が厳選。病態、疫学、診断、治療の4分野に分け、各論文を簡単な要約で紹介しています。

※現在195論文紹介しています。

【対象雑誌】
  • Allergy、 Am J Respir Cell Mol Biol、 Am J Respir Crit Care Med、 Ann Am Thorac Soc、 Chest、 EMBO J、 Eur Respir J、 Immunity、 Int J Mol Sci、 J Allergy Clin Immunol、 J Clin Invest、 J Exp Med、 JAMA、 Lancet、 Lancet Respir Med、 N Engl J Med、 Nat Commun、 Nat Med、 Proc Natl Acad Sci USA、 Respir Med、 Respirology、 Science、 Thorax、 など
【編集委員】
  • 一ノ瀬 正和(東北大学大学院医学系研究科呼吸器内科学分野 教授)
  • 井上 博雅 (鹿児島大学大学院呼吸器内科学 教授)
  • 長瀬 洋之 (帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギーグループ 教授)

最新論文

NEW

Nitrosative stress in patients with asthma-chronic obstructive pulmonary disease overlap.

Kyogoku Y, Sugiura H, Ichikawa T, et al.

【背景】喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)は,COPD単独と比較して,増悪頻度が高く,生活の質(QOL)と予後が不良であるが,ACOの発症機序は十分に解明されていない。【目的】ACO患者の気道中の酸化還元不均衡と組織炎症を引き起こすニトロソ化ストレスを検討し,臨床経過との関連を評価することを目的とした。【方法】健常対照30例と喘息患者56例を対象とした。喘息患者56例のうち,33例は喘息のみで,23例はACOであった。前向きに2年間追跡し,臨床経過を評価した。ニトロソ化ストレスは喀痰細胞における3-ニトロチロシン(3-NT)の産生に基づいて評価した。【結果】喘息のみの患者と比較して,ACO患者では3-NTの産生量が有意に増強していた。新たに同定された強力な抗酸化物質である反応性過硫化物と多硫化物の量は,ACO患者群で有意に低下していた。年齢・喫煙歴・血中好酸球数で調整した3-NTのベースライン値は,増悪の頻度およびFEV1の経年低下と有意に相関していた。また,3-NT陽性細胞数は,炎症性ケモカイン・サイトカインの量と有意に相関していた。【結論】これらの結果から,ACO患者の気道では, より強いニトロソ化ストレスが起きており,その程度は臨床経過の悪化と相関することが示された。ニトロソ化ストレスはACOの発症機序と関連していることが示唆された。

J Allergy Clin Immunol. 2019 Oct;144(4):972-983.e14.

NEW

Particle Depletion Does Not Remediate Acute Effects of Traffic-Related Air Pollution and Allergen: A Randomized, Double-Blinded Crossover Study.

Wooding DJ, Ryu MH, Hüls A, et al.

【背景】交通関連大気汚染の確立されたモデルである、ディーゼルエンジンの排気ガス(DE)は、喘息において世界的に多大な負荷をかけており、アレルゲン吸入の影響を増加させている可能性がある。新しいディーゼル粒子のフィルタリング技術は、NO2排出を増加する可能性があり、エンジン排出関連物質の害の減少に対する効果に疑問が浮上している。【目的】肺機能、気道過敏性、および血中白血球に対する、DEおよびアレルゲンの同時曝露の影響を評価し、DE粒子の減少がこれらの影響を是正するかを検討した。【方法】本ランダム化二重盲検クロスオーバー研究においては、14例のアレルゲン感作患者(うち9例は気道過敏性を伴っている)に、2時間のDE、粒子減少DE(PDDE)、またはフィルター濾過済の空気曝露後に、アレルゲン吸入刺激を行った。コントロールは、フィルター濾過済の空気曝露後に生理食塩水を吸入することとした。血液採取およびスパイロメトリーは、ベースライン時および曝露48時間後に行った。気道過敏性は、曝露24時間後に評価した。【結果】PDDE-アレルゲンの同時曝露は、特に遺伝的リスクのある患者でDE-アレルゲンの同時曝露よりも肺機能の低下が顕著であった。DE-アレルゲン、および、PDDE-アレルゲンはそれぞれ、通常の感受性をもつ患者の気道過敏性を亢進させていた。DE-アレルゲンは、血中好中球数を増加させており、曝露48時間後まで持続する好酸球増加に関連していた。DEおよびPDDEはそれぞれ、患者のジェノタイプにより影響を受けるかのように総末梢血白血球数を増加させた。末梢血白血球数の変化は、肺機能低下と相関していた。【結論】DEとアレルゲンの同時曝露は肺機能を低下させ、ディーゼル粒子減少(すなわちNO2の増加)後に、肺機能をより悪化させていた。したがって、粒子状物質はディーゼル排気ガスによる被害の唯一の原因または主な原因であるとは限らない。公衆衛生保護を目的とする政策および技術においては、その点を精査すべきである。

Am J Respir Crit Care Med. 2019 Sep 1;200(5):565-574.

NEW

The clinical benefit of mepolizumab replacing omalizumab in uncontrolled severe eosinophilic asthma.

Chapman KR, Albers FC, Chipps B,et al.

【背景】メポリズマブとオマリズマブは異なるもののオーバーラップする重症喘息フェノタイプに対する治療薬である。【目的】両方の生物学的製剤に適応であるが、オマリズマブでは適正にコントロールされていない患者が、治療をメポリズマブに直接切り替えた場合に喘息コントロールを改善するかを評価した。【方法】OSMO試験では、高用量吸入ステロイド薬および他のコントローラーに加えて、オマリズマブ(4ヵ月以上)の治療にもかかわらず、試験登録の前年に2回以上の喘息増悪を経験した患者を対象とした、多施設非盲検単群の32週間試験である。ベースライン時の血中好酸球数≧150/μL(または、前年の好酸球数が≧300/μL)、および、喘息コントロール質問票(ACQ)-5スコア≧1.5の患者に、オマリズマブを中止し、直後に4週ごとのメポリズマブ100mg皮下投与を開始した。エンドポイントには、32週時点におけるACQ-5スコアのベースラインからの変化量(主要評価項目)、St.George’s Respiratory Questionnaire(SGRQ)スコアのベースラインからの変化量、ACQ-5およびSGRQ回答者の割合のベースラインからの変化量、および観察期間後の年間増悪率を含めた。【結果】32週時において(intent-to-treat例数 145例)、ACQ-5およびSGRQ総スコアの最小二乗平均変化(mean±SE)は、-1.45±0.107点および-19.0±1.64点であり、77%および79%の患者が、それぞれMCIDを達成した(ACQ-5≧0.5点、SGRQ≧4点)。1年間の臨床的に有意な増悪率は1.18イベント/年と、前年の3.26イベント/年より、64%減少していた。安全性および免疫原性プロファイルは、以前の試験と同様であった。【結論】コントロール不良な重症好酸球性喘息患者のオマリズマブからメポリズマブへの直接的な切り替えは、喘息コントロール、健康状態および増悪率の臨床的に有意な改善を認め、忍容性は問題なかった。

Allergy. 2019 Sep;74(9):1716-1726.

Defective Fibrillar Collagen Organization by Fibroblasts Contributes to Airway Remodeling in Asthma.

Mostaço-Guidolin LB, Osei ET, Ullah J, et al.

【背景】組織学的染色は、喘息の気道リモデリングに関連する細胞外マトリックス(ECM)の変化を可視化するゴールドスタンダードとして用いられてきた。しかし、組織学的染色は、組織機能の変化を理解するのに必要なECMの生化学的および構造的特徴に関する情報を提供できない。【目的】喘息でリモデリング状態となっているECMの生化学的および構造的情報を得るために、線維性コラーゲンおよびエラスチンを可視化する非線形光学顕微鏡(NLOM)とテクスチャ解析アルゴリズムの有用性を検証した。【方法】喘息患者群(n=13)と対照群(n=12)から得た移植ができなかったドナー肺を、NLOMによる気道コラーゲンおよびエラスチン線維の評価と、in vitro実験のための肺線維芽細胞の抽出に用いた。【結果】NLOMイメージングでは、対照群と比べて、喘息患者群の中枢気道および末梢気道において、線維性コラーゲンが増加しているだけでなく、組織の乱れと崩壊が強くみられた。さらに、そのような構造的変化は、疾患の重症度に関係なく小児喘息患者、成人喘息患者のいずれでも認められた。In vitroの検討では、喘息気道の線維芽細胞は、線維性コラーゲンⅠをパッケージングする能力が減弱しており、コラーゲン原線維パッケージングに重要なデコリンの発現も減少していた。透過電子顕微鏡法を用いると、対照群と比べて、喘息患者の気道ではコラーゲン原線維のパッケージングが障害されていた。【結論】NLOMイメージングはECMの構造的評価を可能にし、それにより、喘息の気道リモデリングには、気道線維芽細胞による組織の乱れた線維性コラーゲンの堆積が関連していることが示唆された。本研究は、in vivoで気道リモデリングを評価するためにNLOMが将来的に臨床応用される可能性を示した。

Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 15;200(4):431-443.

Long-Term Azithromycin Reduces Haemophilus influenzae and Increases Antibiotic Resistance in Severe Asthma.

Taylor SL, Leong LEX, Mobegi FM, et al.

【背景】マクロライド系抗菌薬であるアジスロマイシンは、成人の持続的症候性喘息患者の増悪を減少させる。しかし、マクロライド系薬剤の多面的作用のために、細菌のコロニー形成の増加、または、抗菌薬耐性菌の増殖のような意図しない微生物的な問題が起こることがあり、アジスロマイシン維持療法の長期安全性には疑問がある。【目的】気道細菌叢、病原菌量、および、抗菌薬耐性遺伝子の発現に対するアジスロマイシンの影響を評価した。【方法】16S rRNAシークエンシングおよび定量PCR(qPCR)を用いて、AMAZES試験(持続性コントロール不良成人喘息患者を対象とした、アジスロマイシン500mg週3回経口投与の48週、二重盲検プラセボ対照試験)登録患者の喀痰中微生物に対するアジスロマイシンの影響を評価した。抗菌薬耐性の評価のため、統合テンプレートショットガン解析シークエンシング、qPCR、分離全ゲノムシークエンシングを行った。【主な結果】61例(プラセボ群 34例、アジスロマイシン群 27例)より、ペア喀痰サンプルを得た。アジスロマイシンは、全体の細菌数には影響していなかったが(p=0.37)、Faithの微生物多様性(p=0.026)、および、Haemophilus influenzaeの菌数(p<0.001)を有意に減少させた。アジスロマイシンは、Streptococcus pneumoniae、Staphylococcus aureus、Pseudomonas aeruginosa、Moraxella catarralisの菌数に、有意な影響を与えなかった。検出された89の抗菌薬耐性遺伝子のうち、マクロライド耐性遺伝子〔erm(B)、erm(F)、msr(E)、mef(A)、mel〕、および、テトラサイクリン耐性遺伝子〔tet(M)、tet(W)〕が有意に増加していた。【結論】持続性コントロール不良喘息患者において、アジスロマイシンの追加投与は、全体微生物数または病原菌数を変化させることなく、気道のH. influenzae菌数を減少させた。これまでの研究結果と同様に、マクロライド耐性は増加していた。これらの結果により、持続性コントロール不良喘息患者に対する長期治療として、非抗菌マクロライドの効果を評価する研究の必要が示された。

Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 1;200(3):309-317.