Asthma Selected Papers Online

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下記雑誌に掲載された喘息に関する論文のうち、注目すべき論文を3人の編集委員が厳選。病態、疫学、診断、治療の4分野に分け、各論文を簡単な要約で紹介しています。

※現在97論文紹介しています。

【対象雑誌】
  • Allergy、 Am J Respir Cell Mol Biol、 Am J Respir Crit Care Med、 Ann Am Thorac Soc、 Chest、 EMBO J、 Eur Respir J、 J Allergy Clin Immunol、 J Clin Invest、 J Exp Med、 JAMA、 Lancet、 Lancet Respir Med、 N Engl J Med、 Nat Commun、 Nat Med、 Proc Natl Acad Sci USA、 Science、 Thorax、 など
【編集委員】
  • 一ノ瀬 正和(東北大学大学院医学系研究科呼吸器内科学分野 教授)
  • 井上 博雅 (鹿児島大学大学院呼吸器内科学 教授)
  • 長瀬 洋之 (帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギーグループ 教授)

最新論文

NEW

Maternal cytokine profiles during pregnancy predict asthma in children of nonasthmatic mothers.

Rothers J, Stern DA, Lohman IC, et al.

妊婦の免疫状態が児の喘息発症に影響しているかどうかについては、ほとんど解明されていない。非選択的な新生児のコホートであるTucson Infant Immune Studyに登録された児の母親から妊娠中および出産後に末梢血を採取し、血中の免疫細胞をマイトジェン刺激した後の上清中のサイトカインを測定した。9歳までの児の医師の診断による活動性喘息とその母親の喘息の既往歴を、質問票を用いて評価した。妊娠時の母親のサイトカイン(IL-13、IL-4、IL-5、IFN-γ、IL-10、IL-17)産生は、児の喘息の発症とは関連していなかった。しかし、妊娠時のIFN-γ/IL-13比、IFN-γ/IL-4比は、小児喘息のリスク低下と有意に関連していた(それぞれ、381例、OR 0.33、95%CI 0.17-0.66、p=0.002および368例、OR 0.36、95%CI 0.18-0.71、p=0.003)。これら2つの比と小児喘息との負の相関は、非喘息の母親にのみ認められ(それぞれ、309例、OR 0.18、95%CI 0.08-0.42、p=0.00007および299例、OR 0.17、95%CI 0.07-0.39、p=0.00003)、喘息の母親では認められなかった(それぞれ72例および69例、母親が喘息であることの交互作用、それぞれp=0.036および0.002)。父親のサイトカイン比は小児喘息とは関連していなかった。非喘息の母親のサイトカイン比は小児皮膚試験反応、総IgE、5歳時の医師の診断によるアレルギー性鼻炎、乳児湿疹とは関連していなかった。本研究の知見は、非喘息の母親の妊娠時におけるサイトカインプロファイルが児の喘息に関連しているが、アレルギーには関連していないことを示す最初のエビデンスであり、喘息発症の過程が胎内より始まり、アレルギーとは別に進展することを示唆している。

Am J Respir Cell Mol Biol. 2018 Nov;59(5):592-600.

ILC2 frequency and activity are inhibited by glucocorticoid treatment via STAT pathway in patients with asthma.

Yu QN, Guo Y, Li X, et al.

グループ2自然リンパ球(ILC2)は喘息と関連が深い。しかし、これまで喘息患者におけるILC2に対するグルココルチコイドの影響についての研究は存在しなかった。本研究は、喘息患者におけるグルココルチコイド治療後のILC2活性を評価することを目的とした。喘息およびアレルギー性鼻炎合併喘息患者をグルココルチコイドで3ヵ月治療を行った。血中ILC2濃度を測定し、ILC2に対するグルココルチコイドの影響およびシグナル経路をin vitroにて検討した。喘息患者は1および3ヵ月のグルココルチコイド治療後、良好にコントロールされ、高かったILC2レベルは有意に低下していた。アレルギー患者の末梢血単球は、IL-25、IL-33、IL-2に反応して、IL-5、IL-13、IL-9を大量に産生したが、グルココルチコイドは有意にそのレベルを低下させた。さらにILC2は、IL-5、IL-13、IL-9の強力な産生源であったが、グルココルチコイド治療はそれらのレベルを低下させることが可能であった。STAT3、STAT5、STAT6、JAK3、MEKシグナリング経路が、グルココルチコイド治療下でILC2活性を制御するのに関連していることが判明した。本研究により、グルココルチコイド治療は、MEK/JAK-STATシグナリング経路を介してILC2を制御することによって、喘息治療に有効であることが示された。本研究はアレルギー性疾患に対するグルココルチコイド適用に関する新たな知見を提示した。

Allergy. 2018 Sep;73(9):1860-1870.

NEW

Between-Visit Variability in FEV1 as a Diagnostic Test for Asthma in Adults.

Dean BW, Birnie EE, Whitmore GA, et al; Canadian Respiratory Research Network.

【背景】喘息診断にFEV1の受診間の変化を用いることの信頼性については、研究が行われているが、現状では確立していない。【目的】定期受診時に測定したFEV1の変化が喘息の診断と有意に関連しているかどうかを検討した。【方法】医師の診断による喘息歴のある成人患者964例をランダムに選択し、2005~2007年および2012~2016年の期間に研究を行った。メサコリンに対する気道過敏性、および/または、喘息治療薬の中断時に喘息の急性増悪を認めた患者を、喘息と診断した。受診間のFEV1の変化を喘息診断に用いることの評価には、回帰分析およびROC曲線を用いた。【結果】喘息と診断された患者は、964例中584例であった(60%)。受診間のFEV1の絶対変化量は、喘息と診断された患者で、喘息の基準に該当しない患者と比べて有意に高値であった(7.3% vs. 4.8%、2群間の平均差 2.5%、95%CI 1.7-3.3%)。しかし、GINAの推奨診断基準である受診間におけるFEV1の変化12%かつ200mLは、喘息の診断に対して、感度 は0.17のみ、特異度は 0.94であった。受診間におけるFEV1の絶対変化 12%以上かつ200mL以上の基準は、喘息である確率を60%(気管負荷試験前)から81%(気管負荷試験後)に増加させた。【結論】受診間における12%かつ200mLのFEV1の変化が認められる場合、喘息の診断に対してある程度の良好な特異度を示すが、気管支負荷試験と比較して感度に乏しいことがわかった。受診間のFEV1の変化は、喘息診断の確定には相対的に有用ではない基準である可能性が示唆された。

Ann Am Thorac Soc. 2018 Sep;15(9):1039-1046.

NEW

Efficacy of an Inhaled Interleukin-13 Antibody Fragment in a Model of Chronic Asthma.

Lightwood D, Tservistas M, Zehentleitner M, et al.

【背景】インターロイキン(IL)-13はアレルギー性喘息の病因に関係しているとされる重要なサイトカインであり、吸入薬治療の魅力的な標的分子である。【目的】ブタ回虫に自然曝露させたカニクイザルのアレルギー性喘息モデルにおいて、噴霧吸入式抗IL-13モノクローナル抗体抗原結合性フラグメントであるCDP7766の効果を検討した。【方法】CDP7766はeFlow®技術に基づく膜振動ネブライザーを使用して噴霧した。エアゾールは、CDP7766の粒子サイズプロファイルおよび生物物理学的・機能的特性を解析するために測定した。噴霧型CDP7766(0.1~60mg/animal、1日1回、5日間投与)は、吸入の経路を通じて気道に到達させた。【結果】本試験で使用された治験用eFlow®ネブライザーは、変質や粒子の特性、凝集、形質の喪失のないCDP7766の呼吸用エアゾールを発生させるものである。吸入CDP7766は喘息モデル動物において良好な忍容性を示し(局所刺激に関連した有害事象は認められなかった)、気管支洗浄液のアレルゲン誘発性サイトカインおよびケモカインの亢進を有意に阻害した(60mg vs. vehicle:エオタキシン-3 p<0.0008、マクロファージ炎症性蛋白-1β、IL-8、インターフェロン-γ p≦0.01)。CDP7766は吸入アレルゲンによって刺激された気道抵抗の上昇を有意に阻害した(アレルゲン刺激15分後および24時間後に測定した)。【結論】吸入CDP7766は、カニクイザルにおいて吸入アレルゲン刺激に対する気道反応に発生するIL-13の機能を強力に阻害し、アレルギー性喘息治療における吸入抗IL-13治療の可能性を示した。

Am J Respir Crit Care Med. 2018 Sep 1;198(5):610-619.

TNF Family Member LIGHT Acts with IL-1β and TGF-β to Promote Airway Remodeling During Rhinovirus Infection.

Mehta AK, Doherty T, Broide D, et al.

【背景】ライノウイルス(RV)はアレルゲン曝露による喘息を悪化させるが、小児においてはRVに繰り返し感染することにより、アレルゲン曝露とは無関係に喘息様病態を誘発することが示唆されている。【目的】アレルゲン非曝露下でのRV感染が肺組織リモデリングに与える影響を検討し、RV感染が、アレルゲン曝露と共通のリモデリング促進因子を誘導するか検討した。【方法】C57BL/6マウスにアレルゲン曝露または非曝露下でRVを複数回感染させ、気道リモデリングを評価した。アレルゲン曝露によるリモデリングに関与することが示されているLIGHT(TNFSF14)とIL-1β、TGF-βの関与を検討するために、それぞれのノックアウトマウスおよび中和抗体を用いた。【結果】アレルゲン非曝露下でのRVの複数回感染は気管支周囲の平滑筋増殖と上皮下の線維化を惹起した。RV感染はマウス肺にLIGHTの発現を誘導し、肺胞上皮細胞と好中球がLIGHTの産生源の可能性があった。LIGHTノックアウトマウス、またはLIGHT中和抗体投与マウスでは、平滑筋量と肺の線維化が減少した。また,RV感染は、ダニ曝露による気道リモデリングも悪化させたが、LIGHTノックアウトマウスではリモデリングが有意に抑制された。さらに、IL-1βまたはTGF-β中和抗体でも、RVによる上皮下の線維化および/または平滑筋肥厚が抑制された。【結論】アレルゲン非曝露下でのRV感染は、アレルゲン曝露による気道リモデリングと共通した因子の発現増強によって、リモデリングを促進した。

Allergy. 2018 Jul;73(7):1415-1424.